今回は、アクティブノイズキャンセル(ANC)に外音取り込みを搭載して、さらにゲームモードで低遅延(0.06秒)を実現したdyplayの「dyplay ANC Pods」をレビューするぞ。
このイヤホンは、オシャレなデザインに、ハイエンドモデル並みの多機能でありながら、なんと6,999円で手に入るというコスパが良さが光るモデルなんだ。
実際に試してみたところ、音質はそれなりだが、ANCや外音取り込みは予想外に効果的だし、ゲームモードでは遅延を感じずにゲームプレイができた。この価格帯で、これだけの機能を搭載しているワイヤレスイヤホンは非常に珍しく貴重な選択肢のひとつになるはずだ。
ちなみに、dyplayには、完全ワイヤレスイヤホンの他にも、強力なANCと低遅延コーデックaptX-LLを搭載したワイヤレスヘッドホン「dyplay UrbanTraveller2.0 」もあって、以前レビューしているから参考にしてみてくれ。
2015年に設立されたdyplayは、Bluetoothのアクティブノイズキャンセリング(ANC)の研究開発に力を入れた中国ブランド。
dyplayでは、完全ワイヤレスイヤホンを始めとした、さまざまな形のANC製品を手頃な価格で提供していて、ANC入門機を探しているなら、このメーカーをぜひ選択肢に入れてみてほしい。
完全ワイヤレスイヤホンdyplay ANC Podsレビュー
スペックとデザイン
さっそく開封していこう。
セット内容はこちら。
- イヤホン
- 充電ケース
- イヤピース(S / M / L)
- Type-c充電ケーブル
- 日本語/英語取扱説明書
ワイヤレスイヤホンとして一般的な付属品で、説明書もちゃんと日本語表記になっていた。
シリコン製のイヤーピースは3サイズ。
耳にフィットしやすいように楕円形になっている。
スペック
まずは、dyplay ANC Podsのスペックをまとめてみた。
モデル名 | dyplay ANC Pods |
---|---|
価格 | 6,999円 |
カラー | ブラック/ホワイト ※ブラックは公式サイトからの購入のみ |
ドライバー | 10mm ダイナミックドライバー1基 |
周波数範囲 | 20Hz〜20kHz |
Bluetooth | ver.5.0 |
コーデック | AAC/SBC |
遅延 | ゲー厶モード60ms(約0.06秒) 音楽モードは120ms(約0.12秒) |
再生時間 | 20時間 ANC時 4H/16H OFF時 5H/20H |
充電端子 | USB-C |
充電時間 | イヤホン1.5H/ケース0.5~1.5H |
防水性 | 少量の雨は防ぐ (防水規格は認定なし) |
ANC | 〇 -22dB~-25dB |
外音取り込み | 〇 |
モノモード | 〇 |
ワイヤレス充電(Qi) | 〇 |
重さ | イヤホン4g /ケース含めて44g |
再生時間が単体で4~5Hと少し短いことが気になるが、それでも通勤通学程度であれば余裕だし、ケースに戻せば自動で充電してくれるので、そこまで気にならないだろう。
だが、ゲーム用として考えると、使用時間が少し短いなぁ。
もっと頑張ってくれ!!!
それと、ペアリングはマルチペアリングに対応しているものの、一度切り替えると再び戻した場合は端末側から選択しないといけないときがあって不安定さを感じた。
ペアリング方法を読む
ケースからイヤホンを取り出すと、LEDが点滅してぺリングモードになる。
接続する機器のBluetooth設定から「dyplay ANC Pods」を選択するとペアリングが完了だ。
Androidの場合
[接続済みのデバイス→新しいデバイスとペア設定する→「dyplay ANC Pods」]の順に選ぶ
iPhoneの場合
[設定→Bluetooth→「dyplay ANC Pods」]の順に選ぶ
2台目からは、1台目のBluetoothをオフにしてイヤホンを取り出し、2台目の端末から「dyplay ANC Pods」を選択すればペアリングできる。
デザイン
dyplay ANC Podsのケースは、かなりデザインにこだわっている。
こんなにカッコいいケースは初めてかもしれない。
フタ部分には、さり気なく「dyplay」のロゴが刻まれている。
プラスチック製なのだが、表面はつや消しされていてチープな感じはなく、むしろ宝石のようにカットされたラインに魅了されてしまう。
うん。オシャレだ!!!
このオシャレさだけで選ぶ価値ある。
正面にはLEDインジケータが1つ搭載されているが、電池残留がわかりにくいのは残念。
底面には今では主流のUSB-Cポートを用意。
しかもなんと、ワイヤレス充電 Qi にも対応しているから置くだけで簡単に充電できるぞ。
中にはイヤホンが浅めに収納されていて取り出しがスムーズだ。
ちなみに、磁石で収納されるから軽く戻すだけできれいに収まってくれるぞ。
他社製のイヤーピースに付け替えてみても、ちゃんと収まってくれる。好みのイヤーピースに付け替えて音質の違いを楽しもう。
スティックタイプのイヤホンも、ケースと統一された角張ったデザインでめちゃくちゃカッコいい。
こちらもdyplayのロゴが入っていて、先端にはワンポイントでシルバーが使われている。
何度も言うが、ほんとにカッコいいぞ。これ。
快適なタッチ操作
このイヤホンは、タッチ式の操作が採用されている。
音量調節や曲送りができないのが残念だが、左右同じ操作なので混乱が少なく使いやすいのは好感が持てる。
タッチ感度は良く、タッチすると「ポン」と効果音が鳴る。
ほとんど思ったとおりに操作ができるので、装着中はストレスなく使いやすかった。あまりに感度が良すぎて付け外し時に誤作動するのはご愛嬌だ。
1回タッチ | 着信応答 音楽再生・停止 |
2回タッチ | ANC/外音取り込みモード切り替え |
3回タッチ | ゲームモード切替 |
長押し | 着信拒否・電話を切る・音声アシスタント起動 |
装着感もよし
装着感もなかなかいい感じだ。
コンパクトなので耳からの飛び出しも少なく、スッキリとしている。イヤーピースのつけ心地も良く、5時間以上使用しても痛くならなかった。
スティックタイプにしては短いので、先端が当たってイヤホンが外れることも多少回避できる。
完全ワイヤレスイヤホンdyplay ANC Podsレビュー
低中音域がメインの音質
dyplay ANC Podsでいくつか曲を聴いてみた感想をまとめてみる。
音質は低音域≧中音域>>高音域といったバランスで、低音とボーカルがよく聴こえる。その反面、高音域はかなり控えめで、一歩もニ歩も下がったところにあるイメージだ。
メーカー側では、フラットな音質を目指したとしているが、残念ながらフラットではない。
しかも、低音域がボワついていて、たまにボーカルにかぶって聴こえにくくなることもあり、少しクリアさに欠ける印象だった。音場が広がるような感じはなく平面的な印象だが、方向感を感じ取れないほどではない。
ただ、イヤーピースの遮音性はなかなか良くて、パッシブノイズキャンセルがある程度効くので、ANCオフでもわりかし外音を気にせず使える。
とまぁ、なかなかの酷評をしたが、音質に特にこだわりがなければ、ほとんど違和感なく普通に音楽を楽しめると思う。
ぶっちゃけ、普通の音だwww
完全ワイヤレスイヤホンdyplay ANC Podsレビュー
ANCと外音取り込みの実力とは?
ではでは、気になる目玉機能のANCと外音取り込みを実際に使用してみよう。
アクティブノイズキャンセル
さっそく無音でANCをオンにしてみた。
おー!エアコンの音が明らかに変わった!!
エアコンの強風のゴーっていう音がサーっていう音に変化してしっかりと静かになった。強風以下ならほぼ無音だ。
試しに車内で使ってみたが、車の走行音がほとんどなくなり、まさに無音になった。これなら、電車やバスなどの重低音が大きい場所で大いに活躍してくれるだろう。それとANC特有の圧力はわずかに感じるが、この程度であれば問題なさそうなレベルだ。
ただし、話し声などの中高音域に対しては、多少カットされる程度だ。
例えるなら障子を閉めた向こう側の会話っていう感じか。重低音がカットされるから、逆にクリアな話し声になるほど。
dyplay ANC PodsのANCは、最大-25 dB までの初歩的な性能なので、話し声やテレビの音をカットしたいなら、このイヤホンでは約不足と言えるだろう。
逆に言えば、バスや電車の走行音をしっかりと消しつつ、アナウンスは聴きやすくなるので、車内での相性はよさそうだ。
それとホワイトノイズがまぁまぁ入ってくるので、曲間とか少しサーっという音が気になった。
外音取り込み機能
続いて外音取り込みモードに変更してみた。
2回タッチ毎に「ANC→外音取り込み→ANCオフ」とモードが切り替わる。
外音取り込みをオンにすると、かなり自然に外の音が聴くことができた。
これには正直言って驚かさせれた。この価格帯でここまで自然な聞こえ方ができるなんて思ってもみなかった。
多少機械っぽくもあるが、全然自然な感じだし特定の音が大きくなるような歪みもない。ほとんど生で聴いたときと同じように聴くことができる。
外音取り込みは、低品質だとマイクで話しているような機械的な音になったり、特定の音域が強調されて聴きづらくなったりするのだが、dyplay ANC Podsではそんなことはなく、普通に高性能で凄いよ。
完全ワイヤレスイヤホンdyplay ANC Podsレビュー
ゲーミングモードはかなり優秀
もうひとつの目玉機能である「ゲームモード」を試してみた。
ゲームでワイヤレスイヤホンを使うと、一般的なイヤホンの遅延は200ms(0.2秒)、人間の耳で感知できる遅延が70ms(0.07秒)と言われている。
前回紹介したゲーミングワイヤレスイヤホン XROUND AEROでは、50ms(0.05秒)という圧倒的低遅延を実現していたが、dyplay ANC Podsではそれに迫るほどの60ms(0.06秒)という低遅延らしい。ちなみに、音楽モードは120ms(0.12秒)
さっそくCoD Mobileの射撃場にて確認してみよう。
3回タップでゲームモードに切り替わる。
あくまで、僕の耳での主観的な測定になることを先に謝っておく。
実際に試してみたところ、目を閉じて集中して聴くと、やっとタップとの誤差がわずかにあることが分かる。
タップの指が画面から離れて、ほんの一瞬あとに発射音が聴こえるくらいの遅延で、ゲームプレイ中ならまず分からないだろう。XROUND AEROと比べるとわずかに遅いが、これほどの低遅延ならFPSでも十分に楽しめるだろう。
XROUND AEROの場合
イメージとしては、
タンッ (タップ)
ダーン (銃声)
指を離すと同時に聴こえる
dyplay ANC Podsの場合
タンッ (タップ)
ダーン (銃声)
指を離して、一瞬あとに聴こえる
スマホのスピーカー(遅延ゼロ)の場合
タンッ (タップ)
ダーン (銃声)
当然ながらタップと同時に音がなる。
一般的なイヤホンの場合
タンッ (タップ)
ダーン (銃声)
結構ズレが生じるのがよく分かる。
このゲームモードは本物だ。
さすがに音ゲーには違和感を覚える人もいるかもしれないが、FPSやアクションであれば全然問題なく使えるだろう。
完全ワイヤレスイヤホンdyplay ANC Podsレビュー
通話や接続性能
目玉機能以外の機能についても確かめてみよう。
通話
オンライン会議や配信などでもワイヤレスで通話する時代になってきたが、dyplay ANC Podsは通話に使えるのかを試してみた。
zoomや通話で使用してみたところ、かなりクリアに話すことが出来た。
ただし、ノイズキャンセルはついてないので、周りの音も筒抜けになってしまう。静かな場所のみで使用できる程度で、外での通話には向いていないようだ。
接続性能
接続が弱いと途切れたりして不便なもの。
どれほどの性能か以下の検証で確かめてみたぞ。
検証内容 | dyplay ANC Pods | SONY WF-1000XM3 | audio-technica ATH-CKS5TW |
---|---|---|---|
妨害影響範囲 | 7.7m | 3.4m | 1.7m |
遅延 | ゲームモード:感じない ミュージックモード:わずかに感じる | 少し感じる | わずかに感じる |
最大接続距離 | 19m以上 | 65m以上 | 50m以上 |
接続範囲 | 「ドア→5m廊下→ドア」まで | 階を移動すると、 場所によっては途切れる | 2階から庭先5mまで |
検証方法はこちら
妨害影響範囲
イヤホンの通信が、周囲の電波に阻害されずに使える範囲で、小さいほど接続が強力で途切れない。
起動中の電子レンジに影響されず、どこまで近づけるかを確かめる。電子レンジに近づけば妨害電波が強くなるので、実験結果の距離が近いほど強い接続性能を持っていることになる。
参考数値(あくまで独自の参考値)
標準 5m前後
良 2~3m
最良 2m以下
遅延
動画を視聴して口元のズレを確かめる。
4段階評価
感じない > わずかに感じる > 少し違和感がある > 違和感を覚える
最大接続距離
障害物がない直線距離でどれだけ離れられるかを検証したもの。
判定基準は、頭を振ってもまったく途切れない音質を維持できた距離。
接続範囲
障害物がある状態での接続範囲。
2階建て木造住宅の2階にスマホを置き、どんどん離れて行き、途切れたポイントを測定する。
4段階評価
ドア〇枚 > ワンフロア全体 > 2階建て建物全体 > 屋外へ庭先○m
dyplay ANC Podsの接続性能ははっきり言って弱い。
これでは都会の駅ではブツブツ切れてしまうだろう。また最大接続距離も広くないので、スマホからあまり離れすぎると途切れてしまう。
うーん。これ、弱いなぁ…
完全ワイヤレスイヤホンdyplay ANC Podsレビュー
オシャレなデザインと確かな性能にコスパが凄いイヤホンだ
さて、最後にdyplay ANC Podsの特徴をまとめてみよう。
- オシャレなデザイン
- ANC搭載
- 外音取り込みが自然な音
- 低遅延0.06秒を実現
- ワイヤレス充電対応
- コスパが良い
- 音質はそれなり
- ゲーミングで5時間駆動は短い
- 接続が弱い
1万円以下でANCが搭載されたモデルが、2020年から続々と発売されているところだが、まだ性能はそこまで高くないようで、今回のdyplay ANC Podsもそれなりのものだった。
その他にも音質や接続が弱いところもあったが、音質はこだわりなければ十分なクオリティだし、接続も離れたり干渉が多いところで使わなければ問題ないだろう。
性能としてはまだまだ粗削りなところもあるが、見どころも多い。
外音取り込み機能はかなり自然だし、ゲームモードの低遅延も見逃せない。
そして、なによりデザインがかっこいい。
持っているだけでテンション上がる気がするのは、ぼくだけだろうか。
かなり辛口レビューだったが、1万円以下の価格帯でANCや外音取り込み、低遅延にワイヤレス充電まで搭載しているモデルはかなり珍しい。これひとつでいろんな使い方ができるし、十分に検討の余地があるイヤホンだろう。
もし気になったら、ぜひチェックしてみてほしい。
ということで今回は、dyplayの完全ワイヤレスイヤホン『dyplay ANC Pods』をレビューしてみたぞ!!
最後まで読んでくれてありがとう。
以上、ディズ(@_MONOGREAT_)でした。
ばいば~い。
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