ワイヤレスイヤホンを選ぶのって、難しい専門用語が多くて、ポイントを把握するのは難しいよな。ぼくもはじめの頃は、いろんな用語を調べつつ、選んでいた記憶がある。
その中でも
そこでこの記事では、ワイヤレスイヤホンを20個以上使ってきたディズがBluetoothについての基礎知識から、最新のBluetooth 5.2 まで、丁寧に詳しく解説していくぞ。
今までよく分からなくてスルーしてた人も、ワイヤレスイヤホン選びに役立つので、一度理解しておくときっと役立つはずだ。
そもそもBluetoothってなんだ?
Bluetoothとは、1m〜100mの範囲で離れて通信するための近距離無線通信規格のことだ。これまでに、2つの無線方式(BR/EDR, LE)が採用されている。
Basic Rate/Enhanced Data Rate (BR/EDR)は、Ver1.0頃から採用されている無線方式で通信容量は最大3Mbps。
Low Energy (LE)は、Ver4.0で追加された無線方式で大幅な省電力化があった。
一般的には、10m前後の範囲で通信するものがほとんどで、ワイヤレスイヤホンや、マウス、キーボードなど様々な機器に使用されている。同じ無線であるWi-Fiよりも通信容量は少ないが、省電力で使えるため携帯端末に最適な規格なんだ。
ただ、Bluetoothが使用する周波数2.4GHz帯は、電子レンジやその他のワイヤレス機器にも採用され、同時使用すると干渉を受けやすいのが特徴で、通信の安定が課題のひとつとなっている。
まぁ難しく考えずに、携帯端末を無線で繋げるものとだけ理解すればOKだ。
ちなみに、Bluetoothの到達範囲と出力には、その強さによって Class1〜3 まで4段階ある。
クラス | 到達範囲 | 出力 |
---|---|---|
Class1 | 100m | 100mW |
Class1.5 | 20m | 10mW |
Class2 | 10m | 2.5mW |
Class3 | 1m | 1mW |
一般的にはClass2が多く採用されているが、例えばSONYのWF-1000XM3のようなハイエンドなモデルになると、Class1が採用され、より広く強く接続できる。ただし、日本では10mW/MHzまでしか技適を取得できないため、実質はClass1.5が最高出力となるし、接続する相手側も対応していないといけないため、表ほど差が出ないこともある。
一概にClassだけで通信強度が決まるわけではなく、イヤホンの素材やアンテナの精度によっても変わってくるため、あくまで目安としてとらえておこう。
Bluetoothのバージョンによる違いとは?
これまで、1999年に登場したBluetooth 1.0から始まり、最新バージョンBluetooth 5.2 まで進化してきた。
これまで様々なバージョンアップを経て
- 通信範囲の強化
- 通信容量の増大
- 省電力化
などが実施されて、世代を経るごとにどんどん使いやすくなった。今では、ほとんどの製品がBluetooth5.0以上となっていて、ひと昔前よりもかなり安定した通信ができるようになってきた。
各バージョンによる違いは、以下のとおりだ。
バージョン | 無線方式 | 更新内容 |
---|---|---|
ver4.0 | 「Low Energy(LE)」採用 転送速度は1Mbps | BR/EDRに替わって「Low Energy(LE)」(低消費電力)機能が追加され、従来のBluetoothに比べ大幅な省電力化がされる |
ver4.2 | 「Low Energy(LE)」 | 通信速度(アプリケーションスループット)が260kbpsから650kbpsの2.5倍に高速化される |
ver5.0 | 「Low Energy(LE)」 転送速度2Mbpsモードが追加 | データ通信速度が4.0の2倍、通信容量は8倍に増加。メッシュネットワークにも対応し、通信範囲が最大400mまで拡大 |
ver5.1 | 「Low Energy(LE)」 | 方向探知が可能になる |
ver5.2 | 「Low Energy(LE)」 音声規格が「LE Audio」に変更 | 「LE Audio」によって、省電力化、高音質化、並列アクセス、低遅延化が可能に |
Bluetooth 5.0から通信速度や容量は十分なものになったので、最近のアップデートでは、マルチデバイスを想定した便利な機能の開発にシフトしてきているようだね。
ちなみに、Bluetooth 3.0以前の「クラシック(BR/EDR)」とBluetooth 4.0以降の「LE」とでは、規格が違い互換性がないため両者間では使えないが、もはやBluetooth 3.0以前の端末はほとんどないので、実質どんな端末同士でも接続可能と考えてOKだ。
ワイヤレスはさらに自由に。
最新規格Bluetooth 5.2の「LE Audio」とは
最新規格Bluetooth 5.2では、「LE Audio」という新しい音声規格が採用され、オーディオ品質の向上だけでなく、補聴器用の機能まで追加された。
「LE Audio」は、Bluetooth 4.0で採用された LE(Low Energy)で動作する次世代音声規格で、次のような機能が搭載された。
- 「コーデックLC3」
- 「マルチストリームオーディオ」
- 「ブロードキャストオーディオ」
「LE Audio」の登場によって、これまでのものは「Classic Audio」と言って区別されるようになった。
しばらくは両者が混在することになるけど、基本的にどちらも使えるように開発されるから、これまでの機器も今まで通り使えるぞ。
ちなみに、2021年2月現在では、まだBluetooth5.2 に対応したスマホはまだかなり少ない。
では、それぞれの機能でどんなことができるのかを詳しく解説しよう。
ワイヤレスを進化させる。新コーデックLC3とは?
Bluetooth 5.2で採用された「LE Audio」では、標準コーデックSBCの代わりに高音質・低消費電力・低遅延を実現したライセンスフリーのコーデック「LC3」が新しい標準コーデックとして採用された。
LC3とは、「Low Complexity Communications Codec」(低複雑性コミュニケーションコーデック)という音声符号化アルゴリズムの略で、データ量を操作して高音質化や、音切れ、超低遅延、さらに省電力を実現したコーデックだ。
このコーデックなら、最大345kbpsで通信しているSBCと同等の音質を、半分以下のデータ容量160kbpsで実現できる。
ちなみに、このコーデックを使うには、ワイヤレス機器とスマホなどの端末の両方が対応している必要がある。
じゃあ、具体的にどうなるんだろうか。
LC3を使えば、用途に合わせてデータ量を柔軟に変化させることができる。
例えば、データを少なくして低電力化させることで、音質はそのままに、理論上では最大2倍の長寿命化ができる。
逆にデータを増やして高音質化させると、音場が広い臨場感がある音楽を表現できるようになり、ひとつひとつの楽器の細かい音までしっかりと感じ取れるようなワイヤレスイヤホンを作ることだってできる。
当然、省電力化と高音質化をバランスよく調整すれば、現行の製品より音質を高めながら、バッテリー寿命を最高 50%長くすることも可能だ。まさに万能コーデックで、開発者の目指す音を作れる素晴らしい性能だ。
さすが次世代規格は伊達じゃないな。
マルチストリームオーディオとは?
マルチストリームオーディオも LE Audio で新しく搭載された機能で、ひとつの端末から複数の端末へと、複数の独立したデータを送信できるというもの。
例えば、完全ワイヤレスイヤホンの場合、片方を親機、もう片方を子機としていたため、バッテリーが片減りしてしまうなどの問題があった。
それをマルチストリームオーディオを使うと、両方のイヤホンに同時に接続することが可能になり、バッテリー問題解消や接続強化などが期待できる。
同じような機能は、Airohaの「MCSync」や、Qualcommの「TrueWireless Stereo Plus」「TrueWireless Mirroring」のような独自技術として既にあったものだが、Bluetooth標準機能としてやっと取り入れられた形だ。
このおかげで、Qualcommなどの独自技術を使わなくても、臨場感がある立体的な音や、複数端末のスムーズな切り替え、複数の端末と同時につなぐこと(マルチポイント)もできるようになる。
これまでBluetoothの切り替えは、接続している端末のBluetoothをオフにする必要があったりして、手間がかかるものだったんだけど、マルチストリームオーディオで使い勝手が上がったワイヤレスイヤホンが登場しそうだな。
ブロードキャストオーディオとは?
ブロードキャストオーディオとは、ひとつの端末から範囲内の端末(無制限)に音声データを同時送信できるというもので、パスキーを設定することで受信できる端末を制限することもできる。
これによって、「オーディオシェアリング」という新たな概念が誕生した。
オーディオシェアリングなら、スマホの音楽を友人と共有することもできるし、逆に映画館でそれぞれの言語に合わせた音声で鑑賞したり、講演会などで演説者の声を範囲内の人だけに届けるなど、新たな可能性を秘めた素晴らしい機能だ。
Bluetoothのコーデックってなに?
コーデックとは、簡単にいうとデータ圧縮の方式(アルゴリズム)のことだ。
Bluetoothでは、音声を伝える方法としてBluetooth 1.1で用意されたオーディオ用通信プロファイルであるA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)が使われている。
そのA2DPでデータ送信するときに、そのままでは容量が大きすぎて送れないため、圧縮して送信する方法がいくつか開発された。
それがコーデックだ。
それぞれのコーデックの主な違いは
- 音質
- 遅延
のふたつがある。
これはデータ通信速度(ビットレート)が違うことから生じる特徴で、端末の対応状況によって最適な選択をすることで、より快適に音楽を楽しむことができる。
ワイヤレスオーディオ機器を選ぶ上で、コーデックは重要なポイントのひとつなので、しっかりと確認しておこう。
ここからは、ワイヤレスオーディオで使われる各コーデックの特徴を解説する。
コーデック | ビットレート | 音質 | 遅延 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
SBC | 48kHz/16bit | ★ | 0.27秒 (170〜270ms) | 「Classic Audio」標準コーデック |
LC3 (LC3Plus) | 48kHz/32bit (96kHz/32bit) | ★★★★ ハイレゾ相当 | 0.012秒 (12ms) | 「LE Audio」標準コーデックで、超低遅延・省電力・ハイレゾ相当の音質 |
AAC | 8kHz~96kHz | ★★ | 0.15秒 (90〜150ms) | SBCよりも高音質でiOSに正式採用されたコーデック |
aptX | 48kHz/16bit | ★★ | 0.07秒 (70ms) | CD音質のコーデック |
aptX Low Latency | 48kHz/16bit | ★★ | 0.04秒 (40ms) | CD音質で動画やゲームに最適 |
aptX HD | 48kHz/24bit | ★★★ ハイレゾ相当 | 0.13秒 (130ms) | CDよりも量子化ビット数が多く高音質 |
aptX Adaptive | 48kHz/24bit | ★★★ ハイレゾ相当 | 0.08秒 (50〜80ms) | 状況に合わせてビットレートを可変させる |
LDAC | 96kHz/24bit | ★★★★★ ハイレゾ音質 | 遅延大 | SONYが開発したハイレゾ音質のコーデック。 3種類音楽モードに切替できる |
Classic Audio標準コーデック「SBC」
SBC(SubBand Codec)とは、「Classic Audio」で採用される標準コーデックで、伝送量がモノラル198kbps、ステレオ345kbpsを上限としてデータ圧縮される。
標準なだけに製品によっては、遅延を感じたり、最低限の音質な場合がある。
とはいえ、SBCだからと言って必ずしも音質が悪いわけでもなく、普通に音楽を楽しむことができる。
音質にこだわりがなければ、これで十分な音質。
LE Audio 標準コーデック「LC3」
LC3(Low Complexity Communications Codec)とは、「LE Audio」で採用された標準コーデック。
従来のSBCに比べて、半分以下のデータ量で同等の音質を実現した次世代標準規格。ビットレートを可変することで、音質や消費電力を調整できる。ハイレゾ相当の音質にも対応しており、超低遅延・省電力という特徴を持つ。
最高音質だったLDAC以上のビットレート(96kHz/32bit)で、さらに高音質かつ超低遅延な「LC3Plus」というコーデックもある。
iPhone向けコーデック「AAC」
AAC(Advanced Audio Coding先進的音響符号化)は、iPhoneに採用されているコーデックで、SBCよりも高音質・低遅延を実現している。iPhoneはAACを想定して作製されていることで、遅延を計算して動画を調整することでズレを感じない映像体験をすることができる。
ぼくはiPhoneユーザーではないので相性の検証はできないが、これまでandroid端末で多くのイヤホンを使ってみた感想としては、SBCより遅延が少なく感じる場合もあった。
iPhoneユーザーなら、AACに対応していることを確認しておこう。
Android端末向けコーデック「aptX 」
aptXは、アメリカのチップセットメーカーQualcomm社製のチップでのみ採用される高音質・低遅延のコーデック。
仕様上では、SBCやAACよりもさらに音質が良く、遅延も少ない。
同じくQualcomm社製のSoCであるSnapdragonが多く採用されているandroid端末と相性が良く、動画ではほとんど遅延を感じないレベルの製品も多く存在する。
さらに、aptXから派生した独自コーデックも開発が進んでいる。
aptXの高音質版コーデック「aptX HD」
aptX HDは、aptXから派生したコーデックのひとつで、最大48kHz/24bit(CD音質を超えたハイレゾ音質)に対応した高音質伝送が特徴。
aptXよりもデータ量は多くなるので、音質は上がるが遅延が大きい。
aptXの低遅延コーデック「aptX LL」
aptX HDは、aptXから派生したコーデックのひとつで、aptX-LLに対応した端末同士の場合、CD音質で低遅延での通信を実現できる。
FPSやアクションゲーム、動画視聴に向いている。
aptXの音質と接続を調整できるコーデック「aptX Adaptive 」
aptX Adaptiveは、データ転送時のビットレートを可変させることができるコーデックだ。
aptXではビットレートが352kbps/384kbpsに固定されていることで、通信が混雑する場所や時間帯などの環境によっては音の途切れやノイズが発生する場合があったが、aptX Adaptiveではリスニング環境の電波状況やデータ量に応じて転送ビットレートを280kbpsから420kbpsの間で可変させることで、安定して遅延の少ないオーディオリスニング環境が実現できる。
初期スペックでは最大48kHz/24bitまでの信号を伝送可能だ。
SONYの高音質ハイレゾコーデック「LDAC」
LDACは、SONYが開発した唯一日本オーディオ協会の定義する「ハイレゾ音質」が伝送できるコーデック。
SBCの3倍のデータ量を誇っており、高価格帯の製品に多く採用されている。データ量が多いため、遅延が大きくなるところが欠点で、音楽鑑賞には向いている。
また、音質優先(990kbps)、標準(660kbps)、接続優先(330kbps)とモードを選択できるのも特徴の。
ワイヤレスイヤホンを選ぶときのBluetoothのポイントは?
ワイヤレスイヤホンは、Bluetoothでスマホなどと無線接続されて使用する。使いたいワイヤレスの仕様を見ることで、スマホとの相性やできることが分かるので、ぜひ購入前に仕様を確認しよう。
Bluetoothのバージョンはどれがいい?
Bluetooth4.2でも十分な通信は可能だが、遅延や接続強度に違いが出てくるため、最低でも5.0以上をオススメする。
Bluetooth5.2は素晴らしい機能だが、まだスマホ側が対応していないので、これだけでわざわざ選ぶ意味は今のところない。
端末によって対応したコーデックが違う
自分がよく使う端末が、どのコーデックに対応しているかを確認しておこう。
せっかく高性能なイヤホンを買っても対応していないなら、本来の性能は発揮できないぞ。
基本的にはAndroid端末ならaptX系、iPhoneならAACと覚えておこう。
ちなみに対応するコーデックは、iPhoneはAAC/SBCのみ。
Androidは以下の方法で調べることができる。
各社のホームページで仕様を確認するか、以下の方法で確認できる。
1.開発者向け設定を開放する
設定➡デバイス情報➡ビルド番号を7回タップする
2.設定から対応コーデックを確認する
設定➡システム➡詳細設定➡開発者向け設定➡ネットワーク➡Bluetoothオーディオコーデック
ワイヤレスイヤホン選びはBluetoothのコーデックやバージョンだけじゃない
さて、今回はBluetoothについての基礎知識と、ワイヤレス端末を選ぶときのBluetoothの見るべきポイントについて解説してみた。
最後にこれまでの内容をまとめてみよう。
- バージョンによって性能が違う
- Bluetooth5.2はLE Audio、それ以前のものはClassic Audioと呼ばれる
- コーデックは主に8種類ある
- ワイヤレスイヤホンを選ぶなら、Bluetooth5.0以上 / スマホに対応したコーデックを選ぶべし
以上がBluetoothの基礎知識とワイヤレス端末を選ぶポイントだ。
しかし、ワイヤレス端末を選ぶならBluetooth以外にもたくさん見るべきポイントがある。
音質はもちろん、機能やデザイン、使用時間に接続強度など多岐に渡るため、それらをしっかりと確認して購入することをオススメする。
ちなみに、このブログでは上記の内容を徹底的にレビューしているからぜひ参考にしてほしい。
ということで今回は、ワイヤレスイヤホンなどを選ぶ上で必要なBluetoothのコーデックやバージョンなどの基礎知識について解説してみた。
それでは今回は以上だ。ディズ(@_MONOGREAT_)でした。
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